面白いぞ材料は!〜きみだって鉄をつくれる〜 講演記録
産業技術記念館(名古屋市) 1998.11.22.
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「身のまわりの鉄鋼材料」 土井稔 (名古屋工業大学教授名古屋工業大学 材料工学科金属材料コース) |
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乗用車に使われている鉄系材料は、ほぼ70%を占めており、時代によって占める割合はあまり変化していません。自動車のボディ等は鋼板を「塑性加工」して作るわけですが、塑性加工は金属の「転位」を利用した加工であると言い換えることができます。そして加工後にいかに転位を止めるかということが問題となります。この「転位」は現在、動的観察が強力な電子ビームによって可能になりました。 転位を止める技術は、たとえば明石海峡大橋に生かされています。瀬戸大橋ではスパンが1km程ですが、明石海峡大橋では2kmにもなります。これだけの規模になると転位の現象は重要な課題となります。ここで使われる鉄鋼材料は、10のマイナス9乗メートルといったレベルで転位の制御を行っています。10のマイナス9乗というのは、地上の人間を、地球を公転する月の軌道全体が見渡せるところから見ることとほぼ同じだと言えるのです。 |
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「鉄のリサイクル」黒田光太郎 (名古屋大学教授・名古屋大学 工学研究科材料機能工学) |
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日本の近代製鉄の歴史の中で、官営八幡製鉄所が操業を開始した1901年からもうすぐ100年になります。製鉄にはベッセマー転炉や高炉など、さまざまな方法が開発されてきたわけですが、「製鉄は鉄鉱石のエントロピーを取り除く作業である」と言うことができます。生産と消費の関係で消費されたものから素材や材料を生産に戻してやることをリサイクルと言い、製品を繰り返し使い回すことをリユースといいます。鉄系材料は約30%がリサイクルされています。その中でもスチール缶のリサイクルは77.3%(1996年)と非常に高い割合になっています。これは東京タワー262基分の鉄に相当しています。しかし、2020年までに再利用不可能なスクラップが増大し蓄積していくと予想されています。これは、鉄のなかに混入してしまった放射性物質によるもので、大きな課題となっています。 |
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「鉄の歴史と未来」永田和宏 (東京工業大学教授・ 東京工業大学工学部金属工学科) |
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鉄の融点は1535℃ですが、たたら製鉄で使う木炭では1400℃くらいにしか温度が上昇しません。では、なぜたたら製鉄で鉄ができるのでしょうか。鉄の原子は特に炭素と結合しやすいという性質があります。鉄の中に一定量の炭素などが入り込むと、場合によっては融点は1200℃前後に下がるのです。たたら製鉄では還元炎(炎の色は、ほぼ透明でやや紫がかっています)を利用して鉄をつくっていきます。炉の煙突部分(20cm×20cm)の木炭が10分間に約10cm下降していくように、炉に吹き込む風量を調整させてやると、還元炎となります。また、炉底温度を十分に上げておくことが重要です。炉底にたまるガラス状の「のろ」に鉄が溶け込んでいくためです。 燃焼している木炭に砂鉄が接触して、炭素と結びつくと球状になります。炉の中を観察したときに、この球状の粒が落ちていれば、鉄が溶けている証拠と言えます。 たたら製鉄でできた「玉鋼」は、錆びにくく、また軟らかいために鍛接性が良く、丈夫であり、近代製鉄ではできない鉄をつくることが可能なのです。 |