面白いぞ材料は!〜きみだって鉄をつくれる〜たたら操業

産業技術記念館(名古屋市) 1998.11.22.

11:00〜17:00(中庭)
たたら操業実験

 「第2回たたらサミット」(1998年11月21日開催)参加者の協力で、5基のたたら炉による製鉄実験で砂鉄や鉄鉱石から鉄(ケラ:高炭素鋼)を作りました。日本古来の「たたら吹き」(たたら製鉄)は、砂鉄と木炭を原料として、直接「ケラ」(平均炭素濃度1.5%程度の炭素鋼)や「ズク」(銑鉄)を製造する方法であり、ケラは不純物が少ない(特にシリコン濃度が非常に低い)鉄−炭素合金であるという特徴があります。


1号炉(東京工業大学 ナイフクラブ東京工業大学
     工学部金属工学科 永田和宏教授)


1号炉の構造や操業方法については、永田和宏氏の論文「小型たたら炉による鋼精錬機構」(「鉄と鋼」Vol.84(1988)No.10所収)に詳細が述べられています。この論文は、ケラの生成および成長の機構を小型たたら炉を用いて熱力学的に解明したものです。永田氏は昭和54年から実験を開始し、昭和59年に小型たたら炉の操業方法を確立したということです。
 地面に鉄板を敷き、土台を建築用のブロックでつくり、その上にレンガをモルタルで積んだ炉がつくられています。炉に使われるレンガは1300℃程度の耐熱度がある熱伝導度の小さいものなら十分に使用に耐えるということで高価な耐火煉瓦は必ずしも必要としないということです。羽口は底羽口と横羽口が設けられています。炉の内壁や底部も粘土で内張りせず(炉内反応を単純にするためと、炉内を乾燥させる手間を省略するため)炉底に木炭の粉やその破片をレンガ1枚分の厚さに敷き詰めてあります。土台240mm、炉480mm(炉内断面は230mm×230mm)、その上に鉄板(厚さ1mm)製のシャフト800mmが乗せてあり、全高1520mm、送風機は掃除機のブロワーを利用し、スライダックで送風量を調節できるようにしてあります。また温度測定用の熱電対等のセンサー類が取り付けられています。2号炉や4号炉の構造も基本的には1号炉に近いものとなっています。
砂鉄は海岸で採取したものは水洗い乾燥させ、川や山で採取した砂鉄は磁力選鉱してあり、炭は松炭をこぶし程度に砕き使用します。
 炉に木炭を入れ、底羽口から送風し、木炭が10分間に10cm下がる程度に燃焼するよう送風量を調節します。木炭をシャフト上部まで一杯に入れ、炉底温度が1000℃になるまで加熱した後、10分おきに砂鉄1kg、木炭2kgを交互に入れます。炉底温度が下がりはじめるとノロが生成しはじめたことになるので、送風を横羽口に切り替え、底羽口をモルタルで塞ぎます。その後約10分おきに砂鉄1〜1.5kgを木炭と交互に入れていき、砂鉄20kgを入れ終わったら、砂鉄や木炭の挿入を止めて燃焼を継続させます。木炭がシャフトの下まで下がったらシャフトを外し、送風を弱め「火伏せ」を行い、木炭の燃焼にあわせて炉手前のレンガを外し羽口付近まで木炭が燃焼してきたところで送風を止めます。炉内から沸騰音が聞こえなくなるまでそのまま放置し、ケラとノロの塊を取り出し水冷します。冷却後ケラの塊に付着しているノロをハンマーで取り除きケラを取り出します。
 操業の途中でノロ出しを行いますが、ノロが流出しなくてもケラの生成には影響しないということです。ノロ(溶融スラグ)は生成した鉄の粒が再び酸化することを防止し、ケラの成長を助けるはたらきがあり、また、還元領域は羽口上部10数cmから羽口にかけてであると考えられるそうです。このように還元と炭素の吸収が短時間で進行する砂鉄を用いた「たたら製鉄」では炉高を上げる必要はなく1.2m程度になるようです。(生産性を上げるためには、炉を横に拡大します。)

 東京工業大学工学部金属工学科・永田研究室で行われた「たたら製鉄」を収録したものが、NHKビデオ教材(NHKソフトウェア)にあります。また、永田和宏教授の指導のもとで東京都田無市立田無小学校で行われた操業実験の様子が朝日新聞(1995年1月22日)に掲載されています。


2号炉(三重県立桑名工業高等学校)

  1号炉および4号炉とほぼ同じ構造と大きさの炉です。

3号炉【横井式小形炉】
   (名古屋女子大学歴史学研究室 丸山竜一先生 ゼミ学生
    指導:横井時秀 大同工業大学名誉教授)
 砂鉄ではなく鉄鉱石を原材料としています。20リットルの円筒形空き缶を炉殻とし、粘土入りの砂(名古屋東部の丘陵で採取)を内張りして、内径を20cmにしてあります。これを3段積みにした高さ1mの円筒炉となります。送風口は1箇所で、掃除機のブロアーを送風機としています。満杯の木炭を燃焼(還元炎)させながら原材料1山を2分間隔で30山投入していき、時々除滓(ノロ出し)しながら操業します。原材料1山の内訳は、木炭300g、鉄原料(磁鉄鉱:岐阜県恵那産)200g、造滓剤30gとなっていました。

  

 炉を解体し、炉底にある鉄(けら)を取り出します。この炉は、送風羽口周辺の内壁や溶損部分を補修すれば、繰り返して使用でき、また分解可能であるため移動も容易です。炉殻をモルタルで補強し、炉の内壁も粘土を使えば、炉に使う材料も入手が比較的容易です。中学校の技術科の学習に用いることを考えると、このタイプの炉が適していると思いました。


 

 

 


4号炉(愛知県立豊川工業高等学校 天野武弘教諭 生徒)
 1号炉、2号炉とほぼ構造や大きさは似ています。
 天野武弘先生の「たたら製鉄」への取り組みは下をご覧下さい。炉の構造や操業方法について詳細に説明されています。
http://www.tcp-ip.or.jp/~amano-ta/tatara_seitetsu/

            
                    ケラ出し               ケラ


5号炉(名古屋大学 たたら同好会)
 炉の形状は3号炉とほぼ同じで、砂鉄を使用しています。送風用の羽口が3箇所ありました。

 
 


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