面白いぞ材料は!〜きみだって鉄をつくれる〜実験紹介
産業技術記念館(名古屋市) 1998.11.22
〜金属を知るための簡単な実験(研修室)〜
金属とはどんなものか?実際に金属材料(ステンレス、銅、アルミニウム、炭素鋼、アモルファス合金、形状記憶合金)に触れて、実験を楽しみながら、熱伝導性、加工性、形状記憶効果、相変態などの特性を理解しました。
実験1:熱伝導
目的:金属の種類によって熱の伝わりかたが違うことを体感しよう。
原理:金属中の自由電子が熱を運ぶので、熱伝導のよいものほど電気伝導もよい。
試料:ステンレス線、銅線
方法:ステンレス線または銅線の端をつまみ、ライターで一方の端を加熱し、熱くて持てなくなるまでの時間を比べ、熱伝導の違いを調べる。
実験2:金属の加工性
目的:加工硬化と回復現象を理解しよう。
原理:加工によって転位(原子の並びの欠陥の一種)がたくさん作られ、それらがからみあって動けなくなり硬くなる。熱すると、一部の転位が消滅し、残った転位が動きやすくなり軟らかくなる。
試料:アルミニウム線、銅線
方法:折り曲げを繰り返すと、折り曲げた部分が硬くなる。(加工硬化)
硬くなった試料をライターで加熱し、空中で冷やすと再び軟らかくなる。(回復)
実験3:熱処理と特性
目的:合金の特性を熱処理によって制御できることを鋼の「焼き入れ」「焼きなまし」によって体験しよう。
原理:高温からの焼き入れにより「マルテンサイト」が形成されて硬くなる。焼き戻しを行うと、マルテンサイトが分解して炭化物を形成して粘くなる。
試料:ピアノ線(炭素鋼)
方法:ピアノ線をそのまま曲げてみると、非常に硬く、弾性がある。ライターでピアノ線の端を赤くなるまで加熱し、そのまま空気中で冷やす(「焼鈍」)と、容易に曲がる程度に軟らかくなる。再び赤くなるまで加熱し、すぐに水中に入れて急冷する(「水焼き入れ」)と、再び硬くなるが、もろく、簡単に折れてしまう。さらに再び赤くなるまで加熱した後、水焼き入れする。次に、赤くならない程度に加熱する(「焼き戻し」)と、非常に硬いが弾性がある。
実験4:アモルファス合金の強さ
目的:アモルファス合金の力学的性質を知る。
原理:アモルファス(非晶質)は、原子配置がランダムであり、弾性が高い。しかし、温度を上げると、結晶化して通常の金属と同じ周期構造を組み、もろくなる。
試料:アモルファス合金(リボン)
方法:アモルファス合金(リボン)を引っ張ったり曲げたりしてみると、かなり弾性があり、硬い。ライターの炎を近づけすぎないように遠くから少しづつ加熱する。ときどき加熱を止め、引っ張ったり曲げたりしてみると、加熱した部分がもろくなっていることがわかる(「結晶化」)。
実験5:形状記憶効果
目的:形状記憶合金の形状記憶効果を調べる。
原理:低温で安定なマルテンサイト相を変形すると、特殊な変形モード(「双晶変形」)によって容易に形を変える。これを加熱すると、高温で安定な別の結晶構造相に変わる(「逆変態」)が、この時記憶されていた形状に戻る。これを冷却して再びマルテンサイト相に戻しても、形状はそのままである。
試料:形状記憶合金(Ni−Ti)
方法:直線形状を記憶させるため、線の両端を固定して加熱し、空気中で冷やす。任意の形に曲げたあと(強くまげすぎないようにする)、軽く加熱するともとの形状に戻る。同様な方法で、いろいろな形状を記憶させてみる。記憶のための加熱では、形状が変化しないようにしっかりと形を固定させて加熱する。
パネル展示と「ケラ」「ナイフ」「包丁」等の出品(産業技術記念館大ホール)
たたら製鉄のパネルポスター、ナイフや包丁、ケラから造った製品の展示
砂鉄からの玉鋼・銑鉄(宮城県) 銑鉄(千葉県)・鬼板(長野県下伊那)

鉄鉱石サンプル 褐鉄鉱(鬼板)