2時間でできる簡単鋳造

更新日:1999年5月7日


DSC00012-v120.jpg (5191 バイト) 鋳造というと難しいというイメージがありませんか。ここで紹介する方法ならば実に簡単に鋳造実習が可能です。鋳込むだけなら1時間あれば余裕でできます。使用する減摩合金は、220゜Cで溶ける優れもの、実際に船などの機械部品にも使われている合金で、錫と亜鉛、銅などの合金です。鉛の入っていない規格のものを選べば安全性も確保できます。なんといってもアルミの鍋とカセットコンロで溶けてしまう手軽さが便利です。低融合金の実践はこれまでもたくさんありましたが、減摩合金は2kgのインゴットでわずか6千円程度、このインゴットで60人分ぐらいの量がとれます。比較にならないくらい安くできます。

用意するもの

作り方

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1 2mm厚のコルクで型をつくります。

 平面しかできませんが、それでもいろんな工夫ができます。加工はハサミとカッターでOK。最初から7cm×10cmにきっておいてから配布しました。湯口を逆三角形につくらせるのを忘れないようにします。ある程度の湯口の大きさがないと注ぎにくいです。それから、たとえば作品の中央に穴をあけたい時などは、穴になる大きさにコルクを切っておいて、コルクをはさむベニヤ板にセメダインで貼り付けてしまします。空気穴をあけないといけない型などもでてきますが、何度でも試せるので、一度失敗してみるのもよい経験かもしれません。

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2 コルクを2枚のベニヤ板ではさみます。

 コルクの型と同じ大きさ(7cm×10cm程度)のベニヤ板を一枚と、湯口の大きさぶんだけ小さくしたベニヤ板を一枚用意します。金属製のクリップを使ってこれを写真のように挟み込みます。漏れないように4カ所から挟み込みました。下は置いたときに安定するように2個にします。

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3 鋳込みます

 鍋に減摩合金を入れます。インゴットまるまるは入らないので、金ノコなどで切断して必要な分だけ溶かしまします。カセットコンロの火力が不安なら、上からトーチであぶってもいいと思います。溶ける様子を観察させるとなかなかおもしろいですよ。T2みたいです。溶かすときに注意点なのですが、220゜C以上になって溶けるのはいいのですがそのまま加熱し続けるとどんどん温度があがってしまいます。しまいには、柄の部分から煙りが出てくるでしょう。さらに加熱すれば火事になります。それ以前に鍋をもてなくなります。少しガスがもったいなくなっても溶けたらガスを止めるようにしたほうがよいでしょう。
 鋳込む時には、型を写真のように斜めにおきます。湯口に向かってそそぎます。事故があるといけないので、1m以内には近づかないようにさせました。鋳込みは教師が全ておこなったほうが無難だと思います。

4 型からとる
 十分にさましてからとる必要がありますが、温度があまり高くないので、数分待てばやけどをしない程度にさめます。2mmと薄いのもさめるのに貢献していますね。クリップをとってあげるとすぐに取り出すことができます。とるとわかりますが、型にコルクを使っているので端がゴツゴツしています。

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5 ヤスリなどで仕上げる

 端のゴツゴツはヤスリで簡単にとれます。金工万力ではさんでなめらかに仕上げます。耐水ペーパーを使うと表面をきれいに仕上げることもできます。そして、最後にピカールで仕上げればばっちりです。金ブラシなんかも使わせました。ボール盤を使って穴をあける生徒もいました。

作品紹介

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 わずか数時間だというのに、生徒達の作品は実にバラエティに富んでいます。ここらへんの発想力は子どもたちにはかないません。指輪、アルファベット、ロゴ、剣のイミテーション。表面が鏡のように光り輝いているもの、穴にしっかりとザグリがついているもの・・・おもしろいですよ。鋳込むだけなら1時間、周りを削るところまでなら2時間、表面をピカールで仕上げるところまでなら3時間でできます。何度でも試せるのがとてもいいです。生徒達は失敗しながら強度を考えたり、形を考えたりと工夫することができます。ぜひお試しください。


入手先

使用した減摩合金は、桜井技術教材社から購入できます。 
sgk-sakurai@mri.biglobe.ne.jp TEL 03-3696-7185
2kg単位での購入になります。


投稿者:藤代町立藤代中学校 川俣 純

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