最近,学習指導要領改訂で必修になる生物育成について,相談を受けることが多い。そこでそれの相談でもよく話をさせていただく内容を紹介。後半の条間実験は,修論の際に千葉大学の大河内先生に教えていただいたものだ。実践自体は20年近く前のものだが(^^;
「生物育成」の学習内容を検討する際に,よく議論になるのが,理科と技術の「生物育成」の違いである。理科では,例えば,肥料の三要素とその働きなどの知識を整理し,科学的な見方や考え方を育成することが目標である。これに対し,技術では,品質や収量といった目的を明確にし,肥料の三要素などの知識を活用しながら,限られた条件の中で最適な計画を立て,育成していく中で,「技術を適切に評価し活用する能力と態度を育てる」ことが目標である。この技術の考え方は,「材料加工」の棚作り,「情報に関する技術の「ディジタル作品」,「生物育成」等において共通であり,どの題材であっても「ものづくり」の視点でとらえる必要がある。その際に大事なことは,栽培して終わりではなく,実習を通し「技術と社会や環境とのかかわり」,特に社会とのかかわりを押さえることである。生徒達にとって,栽培を単なる栽培体験で終わらせずに,栽培を通し,社会の中の栽培技術が見えるような学習を展開したい。ここに家庭菜園の延長ではなく,理科とも異なる技術の学習としての「生物育成」の重要なポイントがあると考えられる。
品質や収量を意識した「生物育成」の学習
品質や収量といった目的を設定し,そのために最適な計画・育成をする一つの例として,二十日大根の栽培を紹介する。300mm×400mmの大きさの箱の中で,株間は一定だが,1条~10条まで条数を変えて二十日大根を栽培し,箱全体の二十日大根の収穫量(収量)と1株の平均重量(品質)を調べてみたのが図1である。条数が増えるに従い箱全体の収量は増加していく。しかし,条間が段々密集してくるために,各株の品質は下がっていく。ここで収量と品質を考慮することで,例えば,一株がほどよい大きさで,全体の収量も比較的高い6条を選択するなど,目的に応じた最適な条間が決定される。これは「生産物の品質や収穫量の向上等」を目的として,技術を評価した一例である。

