技術教育実践の不易と流行

 産技学会の学会屋台に,「図解 おもしろ子ども菜園」の著者である竹村先生がブースを出され,牛乳パック等を用いた手軽な栽培法の展示をされていた。この本は,手軽な栽培法を分かりやすいイラストで丁寧に解説してあるのがウリ。生物育成必修化に伴い,栽培関連の問い合わせも増えている中で紹介している書籍の一つでもある。
 本の巻頭に,20年近く栽培実践を続けられたとある。栽培が選択になって以降,確か6%を切るくらいまでに栽培の履修率は低下していたし,研究授業対象からもほとんど外れた。そういう中で技術科教師として実践を続けるのはかなり勇気がいることではなかったのだろうか。本を読んだ時に感じていた疑問を聞いてみた。
 お話を聞くと,やはり研究会に持っていっても,今さら栽培?という声も多く,つらい思いもされたそうだ。それでも栽培は大切と信じ,実践を積み重ねていったとか。そんな状態だったが,最近再び注目されだして,嬉しいと言われていた。一つのテーマに信念を持ち,地道に技術教育の実践される姿には心を動かされるものがあった。
 時流を意識し,対応することは大切ではあるが,流行だからとすぐに乗って良いのか。流行が過ぎた実践や教材には価値がないのか。竹村先生にお会いし,改めて技術教育実践の不易と流行について考えさせられた。

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カテゴリー: 技術教育 — matsukun 18:52:30  コメント (0)

論文賞受賞

 週末は岐阜大学で行われた日本産業技術教育学会に参加・発表。今回,論文賞を受賞することとなり,総会で表彰していただいた。

 村松浩幸(信州大学)・竹野英敏(茨城大学):ロボット製作学習に関する技術科教員研修プログラムの開発と評価,日本産業技術教育学会誌,第49巻,第2号,pp.145-152,2007

この論文はD論の一部でもあるが,思いがけない受賞にビックリ。連名で研究賞をいただいたことはあったももの,ファーストでの表彰は初めてである。内容的にもいただいていいのだろうかとちょっと心配になったが,受賞を機にさらに励みなさいという先生方の声だととらえ,ありがたくいただくことにした。
 学会の懇親会後に,うちの4年生,紅林研@静岡大らの交流会に合流し,大宴会となる。三重大時代の卒業生の渥美君も,部活の合間に宴会のためだけに岐阜まで駆けつけてくれたありがたい。紅林先生も受賞したこともあり,双方の学生らに祝ってもらう。楽しい一時だった。
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カテゴリー: 研究 — matsukun 22:00:54  コメント (0)

教材開発加速中

 昨年末以来,立体グリグリのバージョンアップ&テキスト化のプロジェクトが進行し,複数の教材開発が急速に進展。立体グリグリのバージョンアップは,平田さんが精力的に進めてくれている。そして,それらを加速させているのがギジュツドットコムの共同運営者でもある川俣君。古くはオートマ君,続いて通信,最近ではロボコン,知財と一緒に取り組んできたが,また新たな実践が生まれそうな予感。先輩としても負けずに頑張らねば(^^;

 三重大での卒論の取り組みで試作機を開発したが,プロの機械エンジニアである芦田さんの参画で,実用機「グリロボ」ができると共に実践の形も少しずつ見えてきた。こちらも楽しみ。
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カテゴリー: 技術教育, 研究 — matsukun 23:24:50  コメント (0)

堀田さんの講演

今年度の学部での仕事の一つが研究推進室。要は,学部の先生方にジャンジャン科研費の申請をしてもらい,外部資金をたくさん獲得してもらう後押しをする仕事。その一環として,堀田さんをお呼びして外部資金獲得をテーマにしながら,共同研究を円滑に進めるマネージメントのコツについてお話しいただいた。大変忙しい中,しかもある意味企業秘密に相当する部分について紹介いただいたことに深く感謝したい。
 講演では,企業・学校現場・研究者の三者が幸せになる研究マネジメントモデルについて,ICT活用の事例を元に紹介してもらう。プロジェクターや実物投影機活用写真を元に,分かりやすく解説される様子に,分野の異なる先生方が感心されていた。ICT活用についても,先生方に理解していただく良い機会になったのではないかと思う。そして講演中は何度も笑いが起きた。これもかなり異例だと思う。

 講演には,学部の中でも特に若手の先生を中心に,アクティブに取り組まれている方が多々集まってくれた。反応も良く,とても面白かった,今までの研究関係の話の中で一番面白かった,いい方を呼んでいただいたetc好評の声を多々いただいた。さすが堀田さんと改めて感心すると同時に,先生方に少しでもプラスになってもらえれば何よりである。

 個人的には,企業,学校現場,研究者の三者から,企業,学校現場の二者だけでも持続的に進められるように,良い形で研究者がフェードアウトしていくことの重要性についての話が,自分の関わっているプロジェクト,研究等を省みて考えさせられた。創るのもいろいろ動かすのも好きなのだけど,良い形でフェードアウトし,その後も持続させていくというのは,思いの外難しいことだ。いい課題をいただいた。
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カテゴリー: 研究 — matsukun 21:32:47  コメント (0)

ねじの本

門田さんから「トコトンやさしいねじの本」の献本をいただく。実は既に発刊の際に購入して読ませていただいていたのだが,有り難くいただくことにしよう。学生用としてゼミ室に置くことにした。
個人的に面白かったのが,ねじの製造。ねじの製造がこんなに多様だとは。実際に見学してみたいものだ。また,ねじの生産・流通の項で紹介されていたが,ねじの産業規模は9000億円。不況でもねじ生産が落ち込まないことやねじ生産1位が大阪府というのも知らなかった。この本のお陰で,ねじについてウンチクが語れそうだ(笑)

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カテゴリー: 技術教育 — matsukun 16:47:48  コメント (1)

諏訪のものづくり科

諏訪市で,市内小中全校によるものづくり科が開始されて6年目になった。「相手意識に立ったものづくり」をテーマに実践されている。その中で,昨年同様に,諏訪西中学校での研究授業を参観。技術科では基礎的な学習に重点を置き,ものづくり科では自由製作や協同製作などの応用的な取り組みという形になっている。これも試行錯誤の中で落ち着いて来た形だ。

授業では,生徒達も家族のために設計した様々な製作品に取り組んでいた。中にはコンパネや2×4での大物を製作している生徒もいた。

感心したことは三つ。一つ目は三角法で設計図が書かれていたこと。昨今の中学校の実情から見れば驚きだろう。二つ目は道具の手入れの習慣が定着していること。片付けの合図と共に,鉋の刃を出し,油を塗って戻すという手入れ作業をごく自然に行っていた。これだけでもかなり驚きである。三つ目は,授業支援の方が2名入っていたこと。元々ものづくり科のサポートの方に加え,さらに学校ボランティアとしてもう1名,地域の方が一緒に指導に入っていた。先生と2人のサポートで各生徒の作業に対し,きめ細かく対応がなされていた。これにより作業が実に効率良く進む。また,ボランティアの方と生徒の関わりも自然で良い感じであった。この手厚い指導がかなり効いていると感じた。

小学校からの蓄積も効果が出てきているそうだ。小学校の時に,他地区の子達よりも,ものづくり体験を豊かに持って上がってくることで,よりスタートラインを高くできるようになってきた。素晴らしいことだ。そして,単に作るだけでなく,相手を意識し,最終的に社会とつながろうとする方向性はとても良い。
もちろん最初に見させてもらった頃は,うまくいかないという先生方の悩みも伺っていた。しかし,各校,各先生の取り組みで良い成果が出つつあると思う。この試行錯誤こそ,諏訪の取り組みを他が学ぶ際に,貴重な資料になるだろう。

参観後に,校長先生や市教委の方々とも懇談。ものづくり科の成果が着実に現れてきていることや,次のステップへの課題などを話す。この先のさらなる進展が楽しみである。

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カテゴリー: 技術教育 — matsukun 22:08:00  コメント (0)

論文掲載2本

産技学会誌の次号に下記の2本の論文の掲載が決定。

1)村松,他12名: ロボット学習を通して形成される生徒の技術観・職業観を把握する意識尺度の開発

2)村松・土田・森山:中学校技術科のゲーム制作において著作権の権利処理を体験させる知的財産学習の効果

上記2本は,他と違い,やや思い入れの深い論文。

ロボット学習の方は,科研プロジェクトでもあり,その成果の一つが形になったという点でも良かったが,それ以上に,ロボット学習として新しい方向を提示した点にある。正確には,今までもロボコン実践で技術観とか言われていたけど,それを研究化したことに意味がある。

ロボット学習をはじめた頃から,技術開発の疑似体験という話をしていたが,当初はなかなか理解されなかった。理論的にも不十分で,説明不足。また,家庭を意識した生活技術の意識が強い中では無理からぬこととであった。学習指導要領が変わったことで,社会とのつながりや職業観,技術の評価等,多くの先生方にも意識されるようになり,だいぶ風向きが変わってきた。

選択技術の縮減で,大がかりなロボコンは退潮傾向にある。しかし,ロボット学習の最も要点は,ロボット自体ではなく,技術に対する興味・関心を持たせやすく,協同学習を構築しやすい点にある。言い方を変えると技術の世界を子どもたちがのぞき込む入り口ともいえる。現在の科研プロジェクトの中では,1年生の最初にロボットから入る実践が試みられているが,これが面白い。これらの成果もまとまったら紹介予定。

もう一本の知財話は,ジャストシステムのジャストジャンプ4@フレンドに搭載されている「ドリル作成ソフト」を使ったものだ。これは最初に構想段階から開発に関わらせてもらっている(他にも面白いツールが多々)。

ベースになっているソフトはゴミリス。「ドリル作成ソフト」のお陰で,非常に操作性が良く,短時間でゲームが制作できるようになった。このツールを単なるゲーム制作としてではなく,知的財産の学習として実践化している。ミソは著作物の使用許諾だけでなく,著作権契約を学校と生徒(保護者も)で交わすこと。

従来多かった著作権の禁止教育に対し,著作物を創るクリエイター側の立場に立たせ,知財を学ばせるという手法。もちろんゲーム制作でなくても適用可能。敷居が低い実践でお勧めである。「ドリル作成ソフト」自体は,前作のジャンプ3にあり,その時も知財話をしていたのだが,これも当時はあまり理解されず(^^; ロボット同様に,学習指導要領改訂で理解してもらえる方が増えてきたことは嬉しいことだ。

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カテゴリー: 技術教育, 知財, 研究 — matsukun 7:01:20  コメント (0)

プログラムによる計測と制御の教材

今年も信濃教育会のワークショップを行うが,研究授業との関係からプログラムによる計測と制御系の内容にという依頼。ただし,技術科以外の先生も複数参加するので,かなり工夫が必要。いい勉強でもあるので,合間に最近の各種教材を試している。試すこと自体が面白くなってしまうのが心配(^^;
最近話題のArduinoの本も読んでみる。フィジカルコンピューティング系で遊んでみるのも面白いか。制御というと,詳しくない人は,他の内容以上に敷居が高く感じてしまう。逆に,やっている人は詳しいだけにマニアックな世界に入りがち。各地の実践や研究を見ていても,他の内容に比べ,簡単さと高度差が両極端。2時間の中で,簡単に入れて,かつ奥深さを感じられるような内容に仕上げたいと思う。



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カテゴリー: 技術教育 — matsukun 18:23:10  コメント (0)

知財学会年次大会

土曜日午前中は,日本知財学会の年次大会で知財教育分科会の提案者。ラウンドテーブル形式で,私の担当の所には,高校,大学,企業とそれぞれの異なるレイヤーの方が集まり,活発な議論ができる。全体でも活発に進む。特に,中国,韓国の方々も多数参加してくれたのが印象的。日中韓の知財教育連携プロジェクトの準備が整いつつある。
午後は一時抜けて,教育工学会の25周年シンポに参加。村井純先生の話はスケールも大きく,面白かった。Twitterでの使用言語が英語30%,日本語10%で日本語が意外に多い話や,ホワイトハウスのページにあるクリエイティブコモンズマーク等の知財トピックも参考になった。ホワイトハウスのサイトを見てみたら,確かにあった。市川伸一先生の実践に根ざした穏当な提案にも納得。最後に永野先生がTechnology Literacyの紹介をしてくれた。元の資料はこちらかな。

その後,再び知財学会に戻る。この学会の面白いところは,研究者,実務者,法律家,技術者,学校教育者など様々な分野,所属の方が集まるところ。研究発表で最も興味深かったのが,基礎法学教育の実践発表だった。従来の法学教育は,裁判所の視点で教育が構成されていて,当事者の視点が抜けているという指摘。これは法学部分を裁判所を他のワードに置き換えれば,技術や知財だけでなく,多くの分野に当てはまりそうだ。Technology Literacy同様に,法律についてのLiteracy話もされていたが,同意。分野の違う方の話を聞いたり,議論をすることは面白い。

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カテゴリー: 知財, 研究 — matsukun 6:29:39  コメント (0)

週末は東京

明日は日本知財学会では知財教育分科会のセッションのコーディネート。テーマは「知財教育における拡大の所在」。世良先生が精力的に取りまとめてくれる。途中で教育工学会の25周年記念シンポジウムに参加。その後,再び知財学会懇親会という往復の1日。多くを学んだり,議論してきたいと思う。

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カテゴリー: 知財, 研究 — matsukun 21:02:48  コメント (0)